ヘアケア化粧品
ヘアケア化粧品は使用目的や機能によって多くの種類があります。機能別に大別すると、
毛髪・頭皮を洗浄するもの、毛髪の形を一時的に整えるもの、毛髪を長く形つくるもの、
毛髪に色を施すもの、毛髪を健康に育成するもの等があります。
Ⅰ. 洗髪用化粧品
シャンプーやヘアリンス(コンディショナー)などがこの範疇に入ります。
・シャンプー
シャンプーは頭髪及び頭皮の汚れを落とし、ふけ、かゆみを抑え、
頭髪、頭皮を清潔に保つための洗浄用化粧品です。
主成分は界面活性剤ですが、備えるべき機能として、適度な洗浄力、持続性のある泡立ち、
頭皮、毛髪に対する高い安全性が必要です。陰イオン界面活性剤では洗浄力や
起泡力の高いポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等がよく用いられます。
刺激性の低い陰イオン界面活性剤としてアミノ酸系界面活性剤が用いられることもあります。
両性界面活性剤も用いられます。
また起泡補助剤としてラウリルジメチルアミンオキシド等の非イオン界面活性剤が配合されます。
洗髪中およびすすぎ時の指通りをよくするためにカチオン化セルロース等の
陽イオン性高分子物質が加えられることがあります。
リンス効果を兼ね備えたシャンプーも市販されており、リンスインシャンプーと呼ばれています。
陽イオン性界面活性剤やシリコーン油等が配合されています。
また、ふけ、かゆみを防ぐ効果の高いシャンプーがあり、有効成分として
ジンクピリチオンやオクトピロクス等が配合されています。
通常のシャンプーは薬機法では化粧品に分類されますが、ふけ、かゆみを防ぐシャンプー(薬用シャンプー)は
医薬部外品に分類されます。
・ヘアリンス
ヘアリンス(リンス)はシャンプー後に使用し、毛髪になめらかさを与えて毛髪の表面を整える化粧品です。
リンスは陽イオン性界面活性剤である長鎖アルキル第四級アンモニウム塩が主成分であり、なめらかさや、
くしやブラシ通りの向上、うるおい感やつやの付与などを高めるために、コンディショニング成分として
高級アルコールやシリコーン油などが加えられます。
また毛髪と同じたんぱく質で毛髪によく吸着する加水分解コラーゲンや、リンス成分と同機能の
カチオン化セルロースも用いられます。
リンス機能を高めたものはヘアトリートメント及びヘアコンディショナーと呼ばれることがあります。
ふけ、かゆみ防止効果を宣伝した製品もみられます。
・ヘアトリートメント
ヘアトリートメントには、ヘアリンスの項で述べているようにシャンプー使用後にリンスのように使う
インバストリートメントがありますが、これはつけて間もなく洗い流してしまいます。
それ対して、髪を乾かした後に使うアウトバストリートメントがありますが、
これは睡眠中など長い時間をかけて髪にトリートメント成分を浸透させて効果を発揮します。
トリートメント機能を働かせる成分としては、毛髪と同じたんぱく質で毛髪によく吸着する
加水分解コラーゲンや、リンス成分と同機能のカチオン化セルロースなどがあります。
また、ぱさついたツヤがない傷んだ頭髪には、油性成分が効果的であり、それらを加えたものもあります。
Ⅱ. 整髪剤
整髪剤(ヘアスタイリング剤)とは毛髪を固定、セットすることにより思い通りにヘアスタイルを
形成保持するために使用される化粧品で、さまざまな形状のものが市販されています。
毛髪を固定、セットする方法として、高分子物質を用いて皮膜を形成するタイプと、
常温で固形又はペースト状の油性成分を用いて毛髪間の粘着性を利用するタイプがあります。
ヘアフォーム(泡状整髪剤、ヘアムースと呼ばれることもある)、
ヘアスプレー(霧状に噴霧する製品、ヘアミストと呼ばれることもある)、
ヘアスタイリングジェル(ジェル状の透明整髪剤)、
ヘアワックス(固形ないしクリーム状の整髪剤で固まらない自然なセット力が特徴)等があります。
その他にも、主に男性用として、ヘアオイル、ポマード、チック、ヘアリキッド等があります。
Ⅲ. パーマネント・ウェーブ用剤
パーマネント・ウェーブ用剤とはまず毛髪を意図的に所望の形にし(例えば、ウェーブ
を与えたり、くせ毛を真っ直ぐにする等)、パーマ剤1剤を塗布して毛髪構造を緩め、次に
2剤を塗布して毛髪構造を再構築し、毛髪を長時間その状態に保つ剤をいいます。パーマ
剤1液(還元剤)にはチオグリコール酸、システインまたはチオ乳酸などの還元剤とアル
カリ剤が含まれていて、毛髪(ケラチン)の中のSS結合(ジスルフィド結合)を部分的に
切断して変形しやすくします。パーマ剤2液(酸化剤)には臭素酸ナトリウムや過酸化水
素などの酸化剤が含まれて、SS結合を再生します。なお、パーマネント・ウェーブ用剤は
薬機法では医薬部外品に属しています。
Ⅳ. 染毛剤(料)、脱色剤
染毛剤(あるいは染毛料)には、その持続性からヘアカラー(永久染毛剤)、半永久染毛料、
一時染毛料に分類されますが、使用されている成分も作用機構もそれぞれ異なっています。
薬機法での分類、名称も異なり、永久染毛剤、脱色剤、脱染剤は取り扱いに注意が必要なため
医薬部外品に、また半永久染毛料、一時染毛料(注意:両者とも「染毛料」と呼び、「染毛剤」とはいわない)は
化粧品に分類されます。
・ヘアカラー(永久染毛剤)
一般的なヘアカラーは2剤式になっており、使用時に1剤、2剤を混合して毛髪に塗布します。
1剤は染料とアルカリ剤、界面活性剤、酸化安定剤等とからなり、
2剤は、酸化剤、酸、増粘剤等からなっています。
毛髪を脱色し、同時に染料が毛髪内部に浸透して、酸化重合が起きて発色するように設計されています。
薬機法では医薬部外品に分類されます。
・脱色剤(脱染剤)
脱色剤は毛髪をはっきりした明るい色にするためのもので、
毛髪のメラニン(褐色または黒色の色素)を酸化剤で脱色します。
ヘアブリーチあるいはヘアライトナーとも呼ばれます。
染毛した髪の色を取り除くためのものを脱染剤と呼ぶことがありますが、
毛髪中に定着した色を酸化剤で脱色します。
デカラライザーとも呼ばれます。どちらも薬機法では医薬部外品に分類されます。
・半永久染毛料
かぶれやすい人に適しており、薬機法では化粧品に分類されています。
色素が髪の内部まで浸透して染毛します。皮膚が染まりやすいものがあります。
色持ちは2〜4週間程度であり、シャンプーのたびに少しずつ色落ちしていきます。
一度の使用で染毛するものをヘアマニキュアとよび、
繰り返し使用で染毛するものをカラーリンスやカラートリートメントと呼んでいます。
ヘアマニキュアには浸透剤が配合されています。
Ⅴ. 育毛剤
育毛剤とは、頭皮機能を正常化し、頭皮の血液循環を良好にして毛包の機能を高めることにより、
発毛、育毛促進および脱毛防止、同時にふけやかゆみを防止するものです。
育毛剤は、アルコール水溶液に、血行促進剤、局所刺激剤、細胞賦活剤、抗男性ホルモン剤、
皮脂分泌抑制剤、抗炎症剤等、種々の有効成分を配合して作られます。なお育毛剤とは、
医薬部外品の名称であり、化粧品のカテゴリーでは養毛剤と呼ぶことがあります。